英語育児 覚えておきたい3つのキーワード

神奈川大学名誉教授 伊藤克敏 先生にお話を伺いました

いまや英語は、世界の共通語とも言われています。仕事や海外旅行先など、さまざまな場面で英語の必要性を痛感している方も多いでしょう。そして、そんなご自身の経験から、「子どもには早いうちから英語を」と考える方がたくさんいらっしゃるようです。
DWEをはじめとする適期英語教育の良い点は、お子さんたちが、英語を“お勉強”としてとらえることなく、まるで遊びのひとつのように楽しみながら吸収していけることにあります。

そこで今回は、英語育児を楽しむうえで大切な心構えを、伊藤先生にうかがいました。

「のびのび」間違いを指摘するより、お子さんの“話したい”気持ちを尊重しましょう

きちんとした英語を覚えてほしいと思うあまり、お子さんが言い間違いをするたびに、つい注意したくなってしまう方も多いことでしょう。しかし、日本語だって最初から流暢に完壁に使いこなせる子どもはいませんね。同じように、常に英語を聞いて育つアメリカの子どもも、2~3歳ぐらいのころには“I don’t got any. (正:I don’t get any.)”や、“He play tennis. (正:He plays tennis.)”などのような英語の間違いをたくさんします。
言葉を習得する過程において、たくさんの間違いを繰り返しながら、少しずつ言葉のルールや正しい発音を身につけていくのは、母語も外国語も同じなのです。ちなみに、アメリカの子どもでさえ、三人称単数現在の“S”の使い方は4~5歳にならないと習得できないと言われています。

言葉というものは、正確であることより、コミュニカブルである(伝わる)ことのほうが大切です。「誤りは習得の母」という言葉もあります。ちょっとした言い間違いに目くじらをたてるより、お子さんの「英語でコミュニケーションをとりたい」と思う心や、気持ちを伝えようとする意欲を尊重してあげましょう。間違いを恐れず、“のびのび”思いのままに英語とふれ合える環境こそが、お子さんの能力を伸ばします。

「わくわく」そうなんだ!という“発見の喜び”が、お子さんのやる気を引き出します

お子さんの英語へのモチベーション(動機づけ)をいかに維持し続けるかは、英語育児を行う多くのご両親にとって共通したお悩みだと思います。無理に強制すれば、ますますお子さんの興味ややる気が失せ、英語そのものに拒否反応を示すことにもなりかねません。

世界的な言語学者であるマサチューセッツ工科大学教授のエイヴラム・ノーム・チョムスキー氏は、近著のなかで「言葉を学ぶことは、おもしろい。それが言語習得のモチベーションになっている」と書いています。

お子さんの場合も、最初は、ただ遊び感覚で英語の歌を聞いたり、DVDを見たり、絵本を眺めたりするだけだったのが、続けていくうちに脳のなかで次第に英語が蓄積され、それぞれが結び付いていきます。そしてある日突然、昨日まで聞き取れなかった言葉が聞こえ、それぞれの言葉のもつ意味が理解できるようになる。その瞬間の「A Ha! (なるほど!そうだったのか!)」という感激が、もっと知りたい、もっと覚えたいという学びへの意欲を引き出すのです。親に教え込まれたから覚えるのではなく、まるで宝物を探し当てるように自分自身の力で複雑な言葉の仕組みに気づいたときの、心の内からわき上がる“発見の喜び”。それが、お子さんの言語学習に対するモチベーションを支えるのです。お子さんのペースを尊重し、“わくわく”する気持ちを大切にしてあげましょう。

「てくてく」お子さんの成長に合わせて、ゆっくり気長に英語を楽しみましょう

お子さんの言葉の習得は、植物の成長に似ています。お子さんのなかに生まれた英語の種が、たっぷりの太陽や水、栄養(インプット)を与えられることでカ(言葉)をどんどんため込み、やがて小さな芽(一語文)を出します。そしてそれがふたば(二語文・三語文)へと成長し、ゆくゆくは枝(言葉の枠)をいくつも伸ばし、そこに多くの葉(表現)をつけるのです。なかなか芽が出ないからといって、あせる必要はありません。その間、お子さんは、CDやDVDを通してたくさんの音をため込みながら、言語を使いこなすための脳や筋肉が発達する時機を待っているのですから。植物だって、種をまいてすぐ芽が出てきたらおかしいですよね?
もちろん、お子さんの英語環境づくりには、ご両親やご家族の協力、応援が必要不可欠です。二力国語教育の基礎をつくったランバート博士(教育心理学者)の教え子にジェネシーという研究者がいますが、彼に聞いたところによれば、親が二カ国語教育に好意的な家庭の子どもと、そうでない家庭の子どもとを比較すると、好意的な家庭の子どものほうが、よりスムーズに第二言語を習得できるのだそうです。

英語という素晴らしいコミュニケーション・ツールを得ることで、お子さんの世界はどんどん広がっていきます。お子さんの心と体の成長に合わせて、あせらず一歩ずつ“てくてく”と、ご両親もいっしょに楽しみながら、英語を学んでいってほしいと思います。





伊藤 克敏 先生

神奈川大学名誉教授
日本児童英語教育学会(JASTEC)顧問
英国国際教育研究所(IIEL)顧問
国際外国語教育研究会会長